同友会ニュース−企業訪問

エネルギーシフトへの挑戦~エネルギー地域内自給による雇用と質の高い暮らしを 目指して(福島同友会・白川エナジー(株))

※取材のご協力 福島県中小企業家同友会
鈴木俊雄氏(白河エナジー㈱代表取締役・㈱アクティブワン代表取締役)
藤田光夫氏(白河エナジー㈱取締役・藤田建設工業 代表取締役)
藤田和彦氏(白河エナジー㈱取締役・八溝マテリアル㈱ 代表取締役社長)
酒井勝行氏(白河エナジー㈱取締役・㈱ブレイン 代表取締役)
小松裕和氏(白河エナジー㈱監査役・小松商店 代表)
  (敬称略、順不同)

みちのくの玄関口

 白河市は東北みちのくの玄関口で歴史的には城下町として栄え、現在の人口約63,000名です。都心から高速道で約2時間、地盤が良いという土地から大手企業の工場や研究施設、大手食品企業の契約農場や牧場があります。埼玉県行田市(江戸時代から)と戸田市が姉妹都市です。

出発は大震災から

  ←白河エナジー(株)代表取締役
 鈴木俊雄氏

 福島県同友会白河支部は2011年3月11日の東日本大震災から僅か1か月を経過した時に理事会を開催し、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響を受けた福島の将来を皆で語り合いました。これからの地域復興、地域づくりをどうすべきだろうかという点で、意見はすぐに同じ方向に集約されていったそうです。
 まずエネルギーの調達は再生可能エネルギーを有効利用し、安全で安心できる技術を導入して、地域で使うエネルギーはその地域で作り、エネルギーの生産事業に依った経済を地域で循環し、地域経済が豊かになる仕組みを造ってゆこうという結論に至りました。賛同した同友会会員企業と白河市行政との協力によってエネルギー地産事業の取り組みに向けての初の組織体として「白河地域再生可能エネルギー協議会」が2012年1月に発足しました。その後太陽光発電事業が具体的に決まり、企業として設立したのが「白河エナジー ㈱」です。
 前例が無いということで、地元の金融機関も初めは半信半疑からのスタートではありましたが、科学的な裏付け(白河の日照率と発電効率・規模などから発電量を算出)や設置する敷地の確保から採算計画がしっかりと固まる中で、進捗に伴って次第に応援する側に変化してゆき、産・官・金のタッグが結束されてきたそうです。

僅か2年と少しで稼働へ

  白河エナジー ㈱ 取締役 藤田光夫氏→

 そして震災から2年3か月が経過した2013年6月には3か所の発電所が次々と稼働を開始することに漕ぎ着けました。市内の大型ショッピングモールにある大手家電量販店の屋根に設(49.97kW)、少子化のため市立中学校が統合し閉校した側の敷地を10年間の借地契約で設置(49.68kW)、参画企業の中で建設業を営む会社の広い屋根に設置(49.63kW)が初めに開所されました。翌月2013年7月には市内マンションの屋上にも設置(16.77kW)し、次々と事業が実践に移ってゆく中で、行政や金融機関の協力のみでなく市民からの注目も集まり支持されていきました。
 実際の発電量や事業収支は現在まで2年超の実績が計画値通りに推移し、太陽光発電事業の確実性を示すことができました。この実績を踏まえて金融機関は更なる融資に協力的であり、建設企業の資材置き場として確保していた広い敷地に設置するなど、太陽光発電パネルを設置する場所の確保は次々に拡大していける段階へ進みました。

新たな障壁と進化に向かって

 白河エナジーの太陽光発電所は、発電所の開設手続き上で簡易的に進めることができる規制値50kW未満の発電能力の発電所を設置するという手法で、よく聞くメガソーラーとは一線を画した事業です。しかし、ある太陽光パネル大手メーカーが関東圏の同一敷地で50kW未満の発電所を大量に設置した事例がその地域の電力供給バランスを崩すという一方的な事業展開があり、それを阻むた
めに法改正の網が全国に掛かってしまいました。その煽りを受けて現在資材置き場に建設されたばかりの規模を大きくした発電所では50kW未満の範囲だけの送電しか稼働できず、他は手続き待ちという残念な状況がありました。
 発電事業の画一的な許認可の扱いは既存の電力会社の都合や、大資本企業の参入でまだ振り回されることがあり、国策としての制度の不備や課題があるようです。太陽光発電事業のパネル素材は大手メーカーから調達するものの、設置運営に掛かる仕事は地元の中小企業が関わって地域の経済や雇用に結びつき、また地産電力は地元で使うということで従来の電力事業のように送電ロスが
少なくて済むというものです。ですから、本来は小規模の発電事業の主役は各地域の中小企業が担うべき仕事であることをセオリーとして全国に定着させてゆくことが必要だと思いました。
 また新しい発電所のパネル架台は地元の林業から出た間伐材が使われていました。将来この架台が老朽して改修するときには廃材を木チップにするなど、再び活用できるように腐朽防止剤などの薬剤塗布は一切せずに素のままであり、腐朽を遅らせるためにホゾ組はあえて避けて市販の木造補強金物を流用して組むなどの工夫がありました。これらの取り組みは建設時のCO2排出量の低減になり、徹底した環境対応でありその地域にマッチした進化と言えます。  

      ▲間伐材を活用した架台は無塗装でホゾ組無し

熱い郷土愛が原動力

   白河市の事例では地元の同友会会員企業が核となって推進されました。震災の被害、原発事故からの影響など逆境の中からのスタートで、僅か2年で事業を立ち上げた訳ですが、将来の福島・白河をどうするのかを真剣に考え取組まれた結果だといえば簡単ですが、そこには同友会会員同士という共通項の上で理念が共有できていることが新たな活動の方向性を決める際に有利であったと思われます。
 更に一番の原動力の源になった点は「郷土愛」であったようです。白河地域を持続可能な地域社会として次の世代に引き継げるように、今取組まなければという思いの結集があったからだと思います。

今こそ取り組む時だ!

   震災害からの復興や今後の防災対策、原発の課題、地球環境の人為的影響など、今こそ全国的に環境保全を考える中でエネルギーの調達と地域経済の振興を同時に考え行動しなければならない時になっていると思います。国政の進捗を待たず、地域毎に適した取組みをしてゆくことはその地域の中小企業家の責務として期待されるところです。何故なら地域社会の経済を牽引できるのは中小企業だからです。
 今回は先端的にリードされた立派な事例に触れることができました。安心安全で地域毎に経済が回る仕組みを確立し、次世代に引き継いでゆく姿に感動を受けて取材を終えました。

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