同友会ニュース−活動報告

【2015年度 第42回定時総会】 「人を生かす経営」の総合実践

【第1部】 総会

   埼玉中小企業家同友会の第42回定時総会が4月18日(土)に行われ約260名が出席しました。来賓として、上田清司県知事をはじめ、行政、金融機関から来賓としての出席があり、上田知事からは「国の県別GDPにおいて埼玉は5番目だが、上場企業数では7番目で、中小企業が頑張ってこのGDPを上げているのがわかる。中小企業の頑張りが埼玉の浮沈にかかっている」と激励がありました。また、木下信次埼玉同友会代表理事は「昨年度は外形標準課税適用拡大に反対する署名を23,749筆集め国会に提出することができた。景気回復を待つだけではなく打開するために、今後も会員同士が交流し、さまざまな好機を活用し地域に必要とされる、強靭な企業体質をつくっていこう」と挨拶しました。
 総会では、昨年度の活動報告、今年度の活動方針等が審議され、全て承認されました。
 また、2014年度に各方面でご活躍された会員の方々の功労を称え、表彰が行われました。

【第2部】 記念講演

 総会第2部では記念講演として、㈱エム・ソフト代表取締役社長の小暮恭一氏が「社員が自ら考える企業をめざして」をテーマに講演しました。

社員が自ら考える企業をめざして
~価値観の共有が組織をまとめ、活力を与える~

㈱ エム・ソフト 代表取締役社長 小暮恭一氏
中同協 共同求人委員会 委員長(東京同友会所属)

◆事業内容:ソフトウエアの受託開発及び自社製品の研究開発
◆創業年:1987年
◆社員数:340名
◆資本金:1億円
◆年  商:21億1千万円

◆共同求人を始めたきっかけ

   中堅ソフトウエア開発会社に勤めていた私が、同僚数名とともに37歳で起業したのが ㈱エム・ソフトです。
 弊社の事業内容は、大きく分けてソフトウエア受託開発とプロダクトサービス※の二つです。事業の一つである、映像業界向けのソフトウエア開発は、6、7年前からスタートした新しい事業です。皆さんよくご存知の映画にもこの技術が取り入れられています。開発には2年以上要し、大きな投資を必要としたので経営面での課題も生じました。短期的な成果を求める金融機関に対して十分な理解を得ておかないと、借入金を返せずに頓挫する可能性がある事もその時に学びました。今ではこのソフトウエアが数千万の売り上げをあげるまでになりました。1人の社員の発想から、ここまできたわけですから、社員の言葉に耳を傾けることの重要性を感じています。

 ※プロダクトサービス:大学やパートナー企業との連携により生み出された研究成果をもとに、独自技術を用いた製品やサービスを提供し、新しいビジネスの開拓をサポートする事業

◆同友会での学びを経営に生かす

   1987年の会社設立後、すぐに同友会に入会しました。それまでサラリーマンだった私にとって、たとえば「出張手当は、いくらぐらいが妥当か」というような常識的なこともわからなかったので、経営について学びたいという思いからでした。
 設立して間もない頃に、多くの若者は終身雇用を望んでいるという新聞記事を目にし、それならば一生働ける会社づくりをしなければいけないとの思いを強くしました。これは私にとって重い課題でしたが実現しようと心に誓って行動を開始しました。一人が40年働くとして、現実的に20%が残ると仮定すると、毎年40~ 50人の若者を採用して全体で1,100人の会社規模になれば、若者が一生働ける会社がつくれると考え、現在は340名の社員数を1,100名にするべく、その数を意識して行動しています。
 創業メンバーで思いを共有するために理念としてまとめたものが現在の社是として継承されています。会社としては大切な判断となる価値観です。社是は「誠実・尊重、信頼・互恵、技術・マネジメント」です。しかし当時はこの大切な価値観を社員全員で共有することはなく、自分が理解していれば、いずれ皆も分かるだろうという経営者が陥りやすい過ちを犯しておりました。企業にとって価値
観の共有が企業の成長発展に影響する大切なキーワードだと思います。それを教えてもらったのが1989年から参加した共同求人活動でした。最初は理念で人が採用できるのかという思いもありましたが、理念の実践が会社の発展に欠かせないものであり、社員と共に実践する事が共有という意味であると理解できるようになりました。そして、このことが『考える組織』の原点であると感じています。組織とは企業の中で与えられた役割を共有し、進むべき方向を共有し、実践していく職場集団と考えています。私の会社で理念や方針等の企業文化とも言える価値観を多くの社員と共有することができたのは、同友会で学んだことが大きいと感じています。『自ら考え、自ら行動できる組織』になれば最強の企業となり得ます。そのような組織をめざして挑戦しています。

◆危機を脱するときに必要なもの

   『自ら考える組織』。それを実践する中で一番印象に残っているのは、リーマンショック直後のことです。2009年度、売上高はどんどん減少し、21億円強から17億円弱へと前年比20%減まで落ち込みました。この時、事業部長から「事業再生に向けて原点から始めたい」と提案があり、私に「現状を打破するために、社員全員にエム・ソフトの原点を理解させる教育をしてもらいたい」と言われました。そこで会社の理念、経営方針、部門方針を半年かけて社員全員に話しました。全員に話したのはこの時が初めてでした。企業の原点は組織と言いましたが理念の共有ができた組織の活力はたいへん力強いものです。その年度は14%の増収、利益は経常利益で8,000万円という業績を残すⅤ字回復をしました。28年の社業の中で最も印象に残る出来事です。理念や価値観の共有をすることで、組織が一つにまとまり活力をも得られると、この時に知りました。
 この時に共有したもう一つの価値観があります。それは危機感です。この危機感の共有によって、それぞれの立場でやるべきことを考え行動に移したのです。全員が前向きに活動し、会社の再生を願っている事が実感できる場面でした。危機感の共有が自ら考え、自ら行動する社員へと進化させました。共有するにはどうしたらいいか。それは実践した先にどのような未来をつくろうとしているのかを経営者が示すことです。多くの経営者は業績が落ちると「今は大変な時なので社員一丸となって頑張ろう」などと言ったりしますが、そういった精神論だけでは人は動けないと思います。まず、きちんとしたビジョンを、経営者が指し示すことが大事なのです。

◆行き過ぎた成果主義がもたらしたもの

   組織が徐々に拡大し、各課の実績が明確になったころ、新たな問題も発生してきました。売上高での対抗意識が表面化し、各課で作業要員の囲い込みや、別の課でトラブルが発生しても、助け合うような雰囲気ではなくなってきてしまったのです。そうなると士気もモラルも低下し、責任の所在があいまいになり、情報が上司に届かなくなり、業績も伸び悩むという危機的な状況に陥りました。
 経営的な教育がなされていたら、もっと違った方向になっていたのかもしれませんが、そのときは縦の組織ばかりが、意識されてしまったわけです。各課の課長は自分がナンバーワンになりたいと思うのは当然の成り行きで、その思いが成果の追求になってしまったのです。数字だけを追う、行き過ぎた成果主義は企業をゆがめます。
 このような中、私が行ったのは組織の再編成です。部や課を廃止しプロジェクト制にしました。このプロジェクト制はその後、130名に増えた時に社員の要望が出るまで続けました。
 組織は縦の関係でつくられていますが、これに横串を入れて横の連携がとれる関係をつくらないと全体としてよい成果を得ることはできません。この横串となるものが経営的な考え方なのです。

◆中同協共同求人委員長としての思い

   同友会の共同求人活動は、中小企業の発展と地位向上を人材の面から進める社会的責任を持った活動として発展してきました。そして同友会の三つの目的の一つ「よい会社づくり」の要である重要
な企業活動であると考えています。全国の同友会のうち、23都道府県しかこの共同求人に取り組まれていないということは、非常に残念なことだと思っています。
 私たちは代々、子ども達に糧を得る方法を伝えて命をつなげてきました。この脈々とつないできた命の基本となるものが、今の社会では採用活動であり、これこそが雇用の本質だと思っています。
だからこそ雇用が最大の社会貢献であると言えるわけです。これを担う共同求人活動は、社会的意義のある、なくてはならない活動であり、企業にとっては会社の成長の為に重要な活動であると思います。定期採用は必ず毎年でなければならないということではありません。3年に1回でも、5年に1回でもよいのです。「定期的に」採用することがとても大事です。そういう企業を増やして行き
たいと考えます。
 人が採用できない時代にどうやったらできるのか、それを考え実践していく中で重要なことは、中小企業の存在意義を知らせることだと思います。中小企業の価値、意義を多くの人に伝え、それ
が若者に伝われば、彼らは中小企業で働くことを選択するのだと思います。

【第3部 懇親会】

   第3部の懇親会は、設営担当の大宮南地区会が、バルーンやブリザーブドフラワーの抽選会など、楽しい企画を用意し、終始和やかな雰囲気でした。今年6月に県内15番目として誕生する東彩地区会の紹介や、11月17日(火)に川越で予定されている全県経営研究集会のPRなども行われ、2015年度のスタートにふさわしい活気で満ち溢れたものになりました。

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