同友会ニュース−活動報告

特集:社員教育委員会 「人が生きる経営」〜共に学び 共に育ち 共に地域で生きるために〜

社員教育委員長インタビュー

  小島秀孔(こじまひでよし)氏
(株)ライフ白銅 代表取締役社長、
東部地区会
中同協社員教育委員会副委員長
埼玉同友会社員教育委員会委員長

社員教育委員会とは「気づきの場」の提供

 社員教育委員会の活動について、同友会、ことに埼玉同友会と所縁の深い太田堯氏の発言をふまえ(中小企業家しんぶん平成27年8月15日号)、小島委員長からお話を伺いました。
 また、「人を生かす経営」と言い習わしてきましたが、太田氏はその人の持ち味が「生きる」経営をめざしてほしいとの発言に背を押されたことで、今回のタイトルには「人が生きる」を用いました。さらに、「情報の学習を介添えしていくことこそが本来の教育であり、共育」だとも発言していますが、実際の委員会活動ではどのように実践しているのでしょうか。日々の活動にも注目してみました。

自力で学び、自力で気づく力を身に付けてほしい

  広報:漠然とした質問ですが、同友会らしい教育をどのように捉えていますか。
小島:埼玉同友会の今年の目標に、同友会型企業づくり・21世紀型企業づくりを進めて行こうというのがあります。具体的には、地域で信頼される会社を作ろう、社員が自主性を持って働ける会社にしていこうということです。特に社員教育委員会では、自主性のある社員を作っていこうというのがテーマです。
広報:まず大切なのは自主性ですね。
小島:自分で気づく力、自分で学ぶ力を身に付けて欲しいですね。
 同友会の社員教育は、何か知識を詰め込むわけではないのです。参加者が自分で気づいて、自分で解決していく。環境の違う会社へ、同じノウハウを持って帰って会社は変わるのかといったら、変わらないですね。知識やノウハウを詰め込むの

フォローアップ研修とエピソード

  広報:社員教育委員会では、新入社員向けや、フォローアップなどの研修を企画、運営しています。いわゆるプロの講師ではなくて、経営者自らがスタッフとして入っていますが、そこにどういう意義があるとお考えですか。
小島:私たち経営者も気づきは大事です。わかりきったような顔をしていますが、経験を通して勉強することは社員も経営者も同じです。委員会では、両者がフラットな関係で学び合う場を提供していると考えています。
 以前はグループ講師と呼んでいましたが、今はファシリテーターと呼ぶようにしました。ファシリテーターとはお世話役のことです。私たちは教えることはせず、ただ脱線しないように枠を囲ってあげるだけです。
広報:いろいろな問いかけを発していく中で、参加者それぞれが気づいていく研修ですね。
小島:他社の参加者の発言を聞くことで、様々な考えがあることに気づいてもらえたら、それで良いと思います。あるフォローアップ研修で、こんな発言がありました。入社したばかりで何をしたらよいのか分からないので、自分にできることは何かと考え、全社員(およそ30人)のフルネームを書き出して覚えることをしていたそうです。
 作業としては簡単ですが、実際にやっている人はどれほどいるでしょうか。私自身、社員全員の氏名を正確に知っているとは言えません。でも、一緒に働く仲間の名前を覚えていることは、必要なことです。まさに目から鱗の落ちる思いを体験しました。委員会に関わっていなければ、経験できなかったでしょうね。
 重要なことは参加者の気づきではなく、経営者の気づきです。ファシリテーターもみんな特徴があり、リードの仕方も違えば見ているところも違う。自社の参考になるかもしれません。

感動すること、気づくこと、伝えることで共に育つ

小島:参加者の顔がどんどん変わっていくのを見るのは、楽しいです。新入社員研修の1日目は、発言なんかないですよ。みんな下を向いています。それが2日目になると、手がバンバン挙がってくるのですよ。昨日ずっと下を向いていた参加者が、です。人間て、こんな力を持っているのだと感動します。その感動を経営者は自社に持ち帰り、仕事に応用してほしいと望んでいます。経営者は、社員に対していつも関心を持って見ているというアプローチを、していなければいけないと思います。
 経営者も出来るだけ研修に参加して、朝と帰りの社員の変化を見て欲しいのです。それが大事です。そして研修から戻ったら、「○○さん、あの時何か変わったように見えたけど、何か思う所があったの」と声をかけるだけで、社員との関係が変わってきます。「社長は自分のことを見ていてくれた、よし頑張ろう」と思うはずです。
 極端なアイデアかもしれませんが、今後は、『共に育つ』の観点から、経営者(引率者)と共に参加する事を条件にしようか、とも考えています。参加者に研修の意義が伝わりやすくなります。
広報:それでこそ、「共に育つ」のですね。  

地域に信頼される会社

広報:地域との関係はどのようにお考えですか?
小島:社員がきちんと育っていって、その会社の業績も良く、地域の人に信頼される会社、将来あの会社に勤めたいという企業を作っていかなければいけないと思います。大学生の就職先を選ぶ条件に、通勤時間が短いというのがあるそうです。より地域に根差し、そこにいる人を採用して、地域ぐるみで育てていくことが大事になってくると思います。
 先日開催された中同協の社員教育委員会で、同友会らしさとは離職率の低さだという話がありました。大学生は新卒で入って3割は3年以内に辞めていく、高校生は4割退職が一般的だそうです。私たちは共同求人で採用して、その後は社員教育を続けているので、離職率も低いと解釈しています。
 当委員会のアンケートによるデータの中に、新入社員研修のみの参加からリフレッシュ研修、リーダー研修にも参加することで、目に見えて定着率を上げている会社があります。研修に参加するうちに何か気づきがあって、続けるうちに定着率も向上したように読み取れます。このデータでは情報量が少ないために、あくまでも推測ですが。
広報:「中小企業家しんぶん」では中同協の委員長が、「会社に役立つ社員ではなくて、社会や地域を守る人間が育ちあう場を考えねばならない」と発言しています。委員長のお考えを伺いたいのですが。
小島:全く同感です。
 大阪同友会の話です。大阪のある公立高校では学力も低く、生活保護を受けている家庭が半分以上。生徒は「働くのはしんどい」と言っているそうです。おそらく、その生徒の親は「働くのはしんどい」と言っているのでしょう。その親はどこで働いているかと言えば、地元の中小企業です。だったら、私たちが抱えている社員を立派な大人にしなければいけないと気づいたそうです。
 「仕事は楽しいよ」と家で言える社員をたくさん育てれば、地域貢献に繋がっていきます。「仕事は楽しい」が社員の子供に伝わって、働くことが楽しいと思える子供が増えて行けば、犯罪も減り、地域は活性化していくのではないでしょうか。
広報:ただ会社に役立つ人間を育てるのではない、そんな薄っぺらなことではないということですね。
小島:事情があって辞めるのは仕方がない。でも辞めた後に、「良い会社にいたね」と言われるぐらいの会社にしたいですね。「あの会社で基礎を教わって、社会人として1人前になった」と言われるようなそんな会社でありたいですね。  

   ▲委員会合宿では「共に育つ」ために熱い議論が繰り広げられる
    (2014年栃木県那須での社員教育委員会合宿風景)

社員教育委員会の今後の課題と夢

広報:すでに取組みが始まっている「マナーブック」についてお話ください。
小島:今までは福岡同友会で作成した「マナーブック」というテキストを使っていました。これも素晴らしいのですが、埼玉同友会の思いを込めたものを作ろうということになりました。動き始めたばかりですが。
 メンバーは約10名です。我々経営者が社員を抱えて、日々頑張っている思いを伝えようと思っています。来年の4月までには、カタチにしたいと思っています。その後も、数年がかりで作り上げていこうと思います。代々伝えられていくなかで、カスタマイズされ、各社で使ってもらえれば良いと思っています。
広報:今後の課題としては、研修のフォローでしょうか?
小島:そうですね。先日、戸田・蕨地区会で、4社ほどの研修参加者に集まってもらい、ヒヤリングをしました。できれば、それぞれの地区会でも参加者を集めて、研修を受けてどう変わったか、その後どんなことがあったかなど聞いて欲しいですね。近況報告でもいいと思います。そして、何か問題があれば、地区会のみんなでフォローできるようになったら、素晴らしいと思います。委員会と地区会との連携とは、こういうことです。「この会社で働いていて良かったという会社を同友会で作って行く」それが壮大な夢です。
広報:お話を伺って、社員教育とはまず私たちが学ぶことなのだと実感しました。今後は広報として研修会への参加を促す活動をしていきたいと思います。小島委員長、本日はありがとうございました。  

     ▲新入社員研修会ではお辞儀の練習も(2015年)

新入社員研修参加企業調査

 入社3年目までの離職率について、厚生労働省のデータ(『新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況』)によれば、ここ数年は、高卒者は概ね40%前後、大卒者は概ね30%前後で推移しています。
 これに比して当委員会のアンケート結果によれば、回答のあった30社では3年以内の入社は総計214名。そのうち現在の在籍総数187名となっています。
 このデータは高卒者と大卒者が合算されたデータであり、母数や算出基準が上記の離職率とは異なり、一概には比較できないことを承知で単純計算をしてみると、離職率はおよそ13%となります。このことから、日本企業の平均的な姿よりは離職率が低く、社員の定着が良い傾向が伺えます。

ただいま制作中 「マナーブック」を知っていますか?

   同友会や会員企業の新入社員研修で、テキストとして使用されている「マナーブック」をご存知ですか。現在は福岡同友会で制作したものを使っています。
 「マナー」といっても単なる礼儀作法ではなく、仕事に向かう心構えやビジネス文章の書き方など、社会人として身に付けておきたいことを広く取り上げているものです。会員である経営者自身が執筆している、実践的な内容です。
 これにならい、埼玉同友会ならではのテキスト作りが着々と進行しています。

▲ このページの先頭にもどる

携帯対応について