同友会ニュース−活動報告

仕事づくり委員会 時代変化に対応した経営のための連携策 〜同友会における仕事づくりの展望〜

 現在の仕事づくり委員会の前身は異業種交流委員会からの出発でした。そして中同協の「同友会がよくわかる」や「同友会運動の歴史と理念」にも書かれているように、同友会は日本最大の異業種交流・研さん組織です。実践経営から学んだ経験を交流して同じ中小企業家から学んでゆく「学びあい」「育ちあう場」はまさに異業種交流であり、同友会の特色であって、素晴らしい活動であることは既に多くの会員が理解しているところです。
 また、中小企業の事業規模では業務を遂行してゆく上で必要な全ての資源を社内に揃えてゆくことに限界があり、他社の資源を活用する機会は必ずあります。時代の変化を先取りした経営にするためには、絶えず外部資源を取入れることが必要で、同友会はその場にもなり、会員同士が良き相談相手になることもあるでしょう。
 あえて異業種交流に特化した形で委員会を設けている同友会は少なく、関東甲信越ブロックでは埼玉だけです。また仕事づくりという角度で取り組もうという委員会を置いている同友会も実は少なく、経営委員会や社員教育、共同求人委員会などのようにメジャーではありません。強いて挙げるならば、「中同協企業連携推進連絡会」という組織がありますが、正直あまり馴染みがなく分からないという会員が多いと思います。そこで、中同協次長 池田泰秋氏にインタビューに応じていただきました。

「仕事づくり」について 中同協に聞く―中小企業家同友会全国協議会 事務局次長 池田泰秋氏

  ― 中同協の「企業連携」や「仕事づくり」はどのような指針や目的を持って活動しているのでしょうか。
池田氏 中同協の企業連携推進連絡会も時代の変遷に応じて変わってきました。初めは「異業種交流会連絡会」(1987年11月発足)、次に「異業種交流・ネットワーク推進連絡会」になり、2008年2月より現在の名前「企業連携推進連絡会」になりました。「交流」から「連携」になった理由は“双方の強みを合わせて”という意味があり、行政でも農商工連携や六次産業化、産業クラスターといった政策が打ち出されてきたことに対応しています。
 会員企業間の経済交流はタブーという慣習が過去にあったかもしれませんが、会内では他県会員間でも同じ同友会の仲間ということで経済交流が取り組まれるようになってきました。
 企業連携といえば製造業が主ですが、連携によって新しく良い製品開発ができても、マーケティングリサーチなど出口の研究が足らずに失敗することが多くあります。ノウハウや技術の連携などの入口連携だけでなく、市場など顧客の身近での出口連携も重要です。他県にない商材など出口連携で他県同友会会員企業に販路を広げて上手く売上を伸ばすことに成功している会社もあります。出口連携では地方から全国展開へ同友会ネットワークの活用が有望です。例えば広島同友会にLED看板を設置する会社がありますが、広島県内の販売から全国展開をされています。同友会ネットワークを上手く活用すれば受発注の両面で商圏の全国展開が可能になり得ます。

   連携活動としては産学連携では主に寄附講座(講師召喚)で大学と同友会の相互交換講師派遣や、ビジネスマッチング(企業PRイベント)、業種別交流会、視察を含めた国際交流などが全国の活動事例としてありますが、活動として上手く行っているのは利益よりは研究など勉強熱心という面がまだ多いようです。
 仕事づくりというと中小企業の大きな経営課題でもあり、大変難しいテーマです。高度成長期とは違い、現代の仕事づくりは既存の仕事の奪い合いが主流になり、新たなビジネスを創造することは難しくなりました。アベノミクス下では消費景気は不況、投資は好景気という状態ですから、全体の景況統計はさほど悪くない値でも消費は冷えている環境となっています。
 経済用語としては乗数効果という経済効果があり、地域で消費された金額の4〜5倍の経済効果がその地域に波及すると言われています。そこで消費を地域で行ってもらうような取組が重要となります。仕事づくり委員会として
の地域の経済循環づくりは重要な視点ではないでしょうか。今インバンド需要では海外観光客は観光と買い物がセットで、何故かといえば日本の物価は安く保たれてきたことと、円安になったことで、価格の割に良質な商品が多いからです。
 また観光地といっても意外と地元の人が認識していない場所の人気が出る場合があり、視点を変えて観光資源を発見する必要性もあると思います。宿泊施設も古い日本旅館スタイルの方が喜ばれるケースもあり、既成概念を抜けた視点と、大手企業が手を伸ばせない市場創造で、
人と人の関係から取組むことが強みになります。

トレンドはエネルギーシフトと国際交流

池田氏 2011年の東日本大震災が契機になり、エネルギー問題と食料問題が浮き彫りになりました。資源の流通の課題が産業や生活へ影響した経験から地消地産の大切さ有効さが取上げられるようになり、エネルギー需給率の低い先進国ワーストワンの日本として、大いに取組むべき事であり、そこには中小企業の出番がたくさんあります。
 ドイツのエネルギーシフトは国家を挙げて取り組み、地域の地消地産エネルギー活用を進めて地域経済の循環も叶えています。これからは地域で消費するエネルギーの地産化で、地域の中小企業の仕事づくりを推進し、地域経済をつくっていくことが重要です。

   また海外進出では世界人口の半分が住んでいる東南アジアを中心とした中国・インド圏では国を跨いだ輸送インフラの整備が進み、30億人市場の地理的中心になるタイに進出する企業が増えています。現在の経済水準はまだ低くても、将来大きく伸びる可能性を秘めているために、活気と共に経済循環が盛んです。伸びしろの分け合いという観点で、現地でも日系企業への期待が高まっています。
 過去に中国へ盛んに進出していった時期がありましたが、今はタイプラスワン戦略として日系企業だけでなく諸外国からの注目はタイ・ASEANへ移ってきました。特にタイ・バンコクには現地大学のサシン経営大学院というビジネススクールがあり、産学交流が盛んに行われており、日系企業も参加しています。

 国際連携では大阪同友会などが中心になって、タイのビジネスマッチングを進めています。
 これからの中小企業経営ではエネルギー問題の対応と国際連携の取組みが重要と考えています。国内では中小企業憲章や地域振興条例の浸透や制定が進む中で、地域経済から国の経済循環をつくることです。
 身近な委員会活動としては先ず地元の研究をして、情報収集や視察など現場へ行ってその中から発見してくることや、地域の学習を通して地域資源を改めて理解するところが肝心だと思います。  

     ▲タイビジネスマッチング。
      同友会から30名が参加(2015年8月)

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