同友会ニュース−企業訪問

◆実践経営者が語る障がい者雇用 《シリーズ 第4回》 一人ひとりが主役〜支えあう社内風土へ(蠡腟榲婉盥業 代表取締役 出野哲也)

   障害者雇用は平成元年から、先代社長(現会長)の時から取り組んでいるそうです。先に障害者雇用に取り組んでいた同業者のアドバイスのもと、人手不足解消も視野に入れ、職場実習からスタートしました。
 大きな機械を動かし、細かな技術を必要としながらも、長時間同じ作業を繰り返す工程箇所には、人員が定着することが難しいという事情からマッチングを試みたそうです。最初は覚える工程が多く、つきっきりの指導で苦労もありましたが、根気強く取り組む彼らの姿勢に、“任せてみう”と、すんなりとその年から定期雇用が定着しました。

一緒に働く環境があたりまえ。むしろ戦力!

   大宮鍍金工業の採用は、法定雇用率を満たすためや助成金を目当てにした「障害者雇用」ではなく、一般の求人と同じ「正規雇用」です。障害のあるなしに関わらず、大宮鍍金工業に入社した人たちが安定して長くやりがいを持って働いてもらいたいとの信念から「雇用計画」として取り組んでいます。
 「忙しい時には残業もあります。残業時間は社内全員が一緒です。特に短くするとか、そういった特別な配慮はしていません。大宮鍍金工業では、みんな同じ管理のもとに働いています」と、出野社長。「だから今回の障害者雇用についての取材も、何をどう答えたらいいのか。特別なことは本当に何もしていませんから」と淡々と答える姿がありました。
 仕事を指導する社員たちの苦労などは?と、お聞きしたところ、「ラインの中では慌てさせない、うまくできたら誉める、話にはきちんと耳を傾ける、個々の特性に合わせて現場で対応する、
“調子はどうだ?”と声をかける」などを挙げながら、「でもこういった事はすべての社員に対して当てはまる事ですよね。一緒に働く環境が当たり前になっていますのでむしろ戦力と思っています」と語る出野社長。
 「苦労しているというよりも、むしろ頼りにしている」「彼らの根気とやる気をもって仕事に向かう姿勢を頼もしく思っている」という声が社内でも多く聞かれるそうです。自分の仕事に対し誇りをもっているからこそ、その姿に周りの人たちが逆に励まされ、自然とフォローし合う、会社の雰囲気はとても明るいということでした。

一人ひとりが主役〜支えあう社内風土へ

   彼らとの普段の会話も、仕事の話よりもプライベートな話題が多いらしく、そんな会話を通じて一人ひとりを受け入れ見守る会社全体の風土と、出野社長の自然体でいながらきめ細やかな対応が、彼らがのびのびと充実した毎日を送れる最大の理由なのではないかと感じました。出野社長の代になってからは、保護者との交流の機会も大切にしていて、「フェイスシート」の作成に取り組んだり、保護者の方を交えた面談など、新しい環境整備にも力を入れています。
 「彼らの適正と弊社の仕事の内容が、たまたま合っていたんです」と控えめに語る出野社長ですが、それだけではないでしょう。それぞれが活躍できる“場”をつくり、互いに支えあう風土を会社全体で育てていく、これは出野社長が長い年月をかけて取り組んだ成果であり、かけがえのない人財育成につながったのではないかと思います。そしてここに、障害者の方々と共に働くことの意味があり、同友会会員として目指す、『人を生かす経営』につながっていくのではないかと、考えさせられました。

【企業概要】

蠡腟榲婉盥業
代表取締役 出野哲也氏
さいたま市北区日進町1-188 
TEL:048-652-2121
業種:電気メッキ、亜鉛メッキ

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