同友会ニュース−活動報告

特集:経営労働委員会〜自社の現状を理解し「改革」の道筋を見つける〜【委員長インタビュー】

【吉田新委員長に聞く】

  吉田雄亮氏(2016年度新委員長) 蟲氾津店/代表取締役

【会社経営、労働環境を深く考える場】

−経営労働委員会はどんな委員会ですか?

吉田雄亮委員長
:経営労働委員会を一言でいうと、会社経営のこと、労働環境のことを深く考える委員会です。同友会は地区会が基礎単位ですが、経営労働委員会は地区会の活動をさらに深掘りします。その意味で、地区会とはタテ糸、ヨコ糸の関係にあると言えます。
 主な活動としては、まず「経営指針づくりセミナー」(以下:指針セミナー)があります。そして「社長の学校活用・実践セミナー」等、各種講座の開催や「全県経営研究集会」
の分科会担当などをしています。

【自社と自分を変える「経営指針づくりセミナー」】

−同友会に入会したら「指針セミナー」を受講するよう勧められますが、その理由は?

吉田
:同友会に入会するきっかけ、理由は人それぞれだと思いますが、中でも「経営について学びたい」「自社を変えたい」と思って入会する人は多いのではないでしょうか。自社や自分に課題がある人にとって、「指針セミナー」は最適です。
 何のために受講するかと言えば、それは自己改革のため。自社や自分に課題のある人は必ず成文化できます。自分の会社のことですから自分で考えるのは大前提です。自分がつくったものでなければ会社に落とし込めませんし、社員にも伝わらない。そういう考え方で受講してもらうことが大切です。
 私自身は2010年に経営指針を成文化し、翌年セミナースタッフに加わりました。スタッフ1年目は何をしたら良いか分からないまま、2年目にはグループ長を務めることになりました。しかし、グループ長になってもグループ討論の仕方が分からず悩みました。それでも、グループ長を3年務めたことで、グループ長の役割、グループ討論で何をすべきかが分かるようになりました。今思うと「指針セミナー」はグループ長を育てるのにもうってつけです。

  【「企業変革支援プログラム」は自社の立ち位置が分かる】

―「企業変革支援プログラム」は知っていても、活用の仕方が分からないという声が少なくありません。

吉田
:「プログラム」で自社の立ち位置を確認し、「指針セミナー」で経営指針を成文化することが大切です。「プログラム」で定期的に自社点検し、自社の立ち位置の変化を検証することもできますし、社長の認識と管理職、社員の認識のズレを確認し共有し合うという使い方をしている例もあります。
 採点して何点だったという点数の問題ではありません。自社における、各項目それぞれのレベルがどういうものかを見ることで、自社の現在の立ち位置が分かります。「プログラム」にある22項目の一つひとつ取り組んでいけば、会社は相当変わることができます。地区例会などで「企業変革支援プログラム」を積極的に活用してほしいと思います。

  【学びと実践を重視した委員会活動に】

―経営労働委員会はセミナーなどの企画運営が多く、委員会の中で「学ぶ」ことが難しいという悩みもあるようですが、新年度の委員会活動をどのように考えていますか?

吉田
:新年度にあたり、改めて経営労働委員会の存在意義を考えてみました。それは埼玉同友会の中心的活動であるべきであろうと。では何が大切かというと、セミナーを運営することそれ自体ではなく、その過程で気づき、学ぶことです。ボランティアではいけない。セミナーや委員会に参加することで気づきや学びが得られることが大切です。そういう学びが全面に出てくるような委員会にしたいと思います。
 経営労働委員会に参加している会員は元気で会社業績も良い、「どうして?」と聞かれたら、こういう活動をしているから、そんな委員会なら参加したい、だったら「指針セミナー」を受講してください、と言える委員会にしたい。そして2016年の経営労働問題全国交流会に埼玉から報告者を出すことを目指したいです。
 そのためには委員会メンバーの実践度を高めたいですね。実践度を高めるためには、会議の充実、気づき、学べる委員会にしたい。毎回の委員会では学びの時間は1時間とれないかも知れません。30 〜 40分くらいかも知れませんがそれでも構いません。委員会後の懇親会でも学びはできます。
 

セミナー運営については委員会とは別に少人数で効率良く決め、委員会では最終確認だけにしようと思います。セミナーを総括する場合、運営はどうだったかといった視点より、何を学んで何を持ち帰ることができたかを総括すべきだと思います。2016年度の経営労働委員会ではこの視点を重視したいと思います。
 また、労働環境整備にも力を入れたい。「人を生かす経営」の実践にこだわり、セミナーや委員会の中で取り組みたい。この点はブレることなくやっていきたいと思います。会社業績を良くしたいというが、誰がやるのかと言えば社員に他ならない。社員が生き生きやる気をもって働けるようにしないと会社業績も良くならない、そのことを正面から考え、取り組む必要があると思います。

 

        ▲経営指針セミナー風景〜経営に真剣に向きあう〜

【経営者が変わる謙虚さが第一歩】

―最後に経営労働委員会から会員へメッセージを

吉田
:指針セミナーを受講したいが、忙しくて時間がとれないという声を聞きますが、忙しい中でも経営者が学ぶ時間をつくること、それ自体が会社を変える第一歩になります。社員や家族に協力してもらう必要があれば、話さなければならない、話せば成文化しなければなりませんから。そこから会社の改革が始まります。
 同友会以外に「学べる」会がありますか?同友会の良さをもっと活用しましょう。そして、同友会の活動に関わって謙虚に学び合いましょう。

【歴代委員長が語る経営(労働)委員会】

  太田久年氏(2007 〜 2008年度委員長) 螢曠Ε罐Α紳緝充萃役
盒鏡掬氏(2011 〜 2013年度委員長) 觜眞翦超盥業/代表取締役
牧野次成氏(2014年度〜 2015年度委員長) ユニオントレーディング蝓紳緝充萃役
吉田雄亮氏(2016年度新委員長) 蟲氾津店/代表取締役

年々広がってきた指針づくり

  ―これまでの経営(労働)委員会活動や「指針セミナー」を振り返ってください。

太田久年氏
(2007 〜 2008年度委員長):当時は現在のように活況ではありませんでした。ある意味マニアックな委員会だったと言えるかも知れません。「指針セミナー」では、合宿のときを除きグループ討論はあまり行われず講義中心でした。
 一方、当時からグループ形式は採用していましたので、グループ内の連帯感が生まれ、セミナー修了後も仲間意識が継続して良かったと思います。
 委員会全体がセミナー中心でした。経営に自信をもっている参加者が多く、議論が白熱することもしばしばありましたね。

  盒鏡掬氏(2011 〜 2013年度委員長):当時の委員会はベテラン会員と新しい会員が多く、人数も多くなかったので、「指針セミナー」を受講して4年くらいで私が委員長になりましたが、受けてから委員長の重みが分かりました。
 東日本大震災があったこともあり、「埼玉同友会を挙げて指針づくりに取り組み自社経営と、経営環境を見つめ直すべき」と理事会で問題提起され、その後、全県的に指針づくりの運動が広がっていったように思います。それまでは学びたい会員が学ぶ、自然発生的なセミナー受講だったと言えるでしょう。

  牧野次成氏(2014 〜 2015年委員長):私自身の入会動機が「『社長の学校』でまた学生に戻って勉強できるなら」という思いで入会しましたので、すぐに経営委員会に参加しました。参加したその年に「指針セミナー」を受講しましたが、当時の受講者は12 〜 13人でした。途中1人減り、2人減り終了時には2〜3割減っていたと思います。それだけスタッフとの学びも厳しく、本人の覚悟が必要でした。セミナーのプログラムは受講者にとっては、かなり高度なものでした。中小企業経営者が自社の経営を見つめ直す機会は、そうそうあるものではありませんでしたので、受講した会員にとっては大いに学び、気づきを得られたセミナーだったと思います。
 現在、成文化した会員が「指針セミナー」の良さを伝え、さらに受講生が年々増えるという相乗効果が生まれていますが、当時からは想像しがたいもので、改めて「経営指針づくり」の素晴らしさを実感しています。

運営と学びの両立の難しさ

―「指針セミナー」は受講者とともにも関わるスタッフも増えてきていますが、一方では、月に一度開催される委員会自体への参加者が少ないという面もあるようですが…。

牧野:
委員会自体の参加者が少ないというのは、委員会の活動がセミナーの運営重視になってしまっていることが挙げられると思います。限られた日程、時間の中、全体で話し合うのは、どうしてもセミナーの運営を優先せざるを得ない面もあります。
 委員会でも学べるんだということになれば、委員会への参加も増えてくると思います。

盒供数年前、「労使見解」の勉強会を委員会の中でやっていたことがあります。その時は参加者も多かったのですが、続きませんでした。文章の深掘りを意識し一言一句の解釈に時間をかけ過ぎたせいで、なかなか先に進めなかったということと、運営を話し合う時間が足りなくなってしまったということが要因だったと思います。

受講者、スタッフの望ましい形

  ―「指針セミナー」を複数回受ける受講者がいる一方、スタッフとして関わりながら自社の指針をブラッシュアップしている人もいます。それぞれセミナーへの関わり方として、どのような形が望ましいのでしょうか?

牧野:
繰り返し参加する人が増えてきていることは良いことだと思います。

太田:一度成文化したものの実践できていない、あるいは成文化したものに満足していない人が繰り返し受講しているんだろうと思います。

牧野:受講者がセミナー修了後どう実践できているのか、委員会として検証できていないという課題はあります。委員会としては、受講者が成文化後どのように実践しているか、実践の過程で何が問題になっており、それをどう解決していっているか、そこにスポットを当てることも必要だろうと思います。

  太田:「修了証」が交付されるようになり、「修了証」がもらえたらそれで終わりという感じになっている面は否定できないと思います。「修了証」はセミナーを受講し終わったことの証にはなりますが、経営指針づくりが終わったということではありません。「指針セミナー」のグループでは、修了後もメンバー同士が実践の進捗を確認し合っているところも増えてきています。
 また、別の見方としては、最近「指針セミナー」のハードルが下がってきている気がします。以前は埼玉同友会発行の「経営指針 作成マニュアル」を使っていましたが、難しくて途中で受講を諦める人も少なくありませんでした。その後、シートなどを分かりやすくしたこと、そして丁寧に教えるようになったことで修了者が増えてきたことは良かったと思いますが、反面「教えてください」という受動的な空気が広がってきたようにも思います。「補講をしてください」「補講はないんですか」的な反応は正直いかがなものかと思います。ハードルが下がったことは良いことではありますが、別の課題も見えてきている気がします。

盒供スタッフについて言えば、セミナーが充実してくると「セミナーだけやっていれば良いだろう」とか、セミナーに参加してさえいれば「スタッフの役割を果たしている」と思ってしまう傾向が生まれてきているようにも思います。
 また、スタッフになると先生のようになってしまい、何でも教えてしまうということもあります。スタッフは先生ではなく、受講者の思いや考え方を引き出すために問いかけたり、アドバイスする立場なのに、答えを言ってしまうところも多少あります。

牧野:スタッフが経営指針セミナーに積極的に関わるのは、自ら学べる場であると実感しているからだと思います。毎年毎年スタッフとして関わってくれる会員が多いことに感謝しつつ、改善すべき点は改善していくことが必要です。

太田:入会してほしい人に「指針セミナー」を勧めることが増えている気がします。経営指針セミナーを受講したいから入会するという人も増えています。同友会への入口が「指針セミナー」。これ自体は良いことであり、運転免許証のようなものと言えるのではないでしょうか。

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