同友会ニュース−活動報告

第19回女性経営者全国交流会 in 旭川

いのちの輝きはぐくむ平和な社会を 生活者の視点で未来へつなぐ仕事づくりを!

   初日は中小企業家同友会全国協議会 鋤柄修会長、続いて北海道知事の高橋はるみ氏の挨拶で始まりました。凛として話される姿と内容に感銘を受けました。問題提起は広浜泰久幹事長から「女性の力を生かした仕事づくり地域づくりこそが、今の人口減少社会における中小企業の原動力!地域を担う主役となるべく、
大いに学び交流する2日間にしましょう!」と開会のテープが切られました。
 その後、各分科会に移動し、それぞれの分科会で学び多い貴重な時間を共有しました。埼玉同友会は5分科会を担当し、(株)コマームの小松君恵氏が報告。なぜ市場を先取りできたのかを納得できたすばらしい報告でした。天候はあいにくの雨ではありましたが、旭川の皆さまの心のこもった設営に感動しました。内容の濃い2日間は、きっと参加者全員の記憶に深く刻まれたことでしょう。2年後はいよいよ埼玉で開催されます。人を生かす経営実現のため、全会員が一丸となって取り組まなければいけないと、改めて感じました。

【第5分科会】

市場変化への対応
現場から生まれたイノベーション
内なる変化が市場を先取りした!

小松君恵氏〈㈱コマーム 代表取締役、川口地区会〉

起業への思い

   当社は、夫が製造業として設立した会社の事業部として、1995年に主婦3人1万円で起業をした会社です。私が公務員の保育士として仕事と子育ての両立に苦しんでいた時、上司から「子育てと仕事の両方を望むのは虫がいい」と言われ、二者択一なんて変だと思いながらも、その時代の現状を受け入れ仕事を辞めざるを得ませんでした。子育てをしながら働き続けられる会社が「あったらいいな」という思いで、起業という道を選んだのです。会社を設立してスタッフの募集をしたところ、こんな会社が「あったらいいな」と共感してくれた100名の応募があり、30名を採用してベビーシッターの仕事を始めました。当時、ベビーシッターという子育ての仕事は女性が無償で行う労働と捉えられていましたが、事業として成り立つという確信がありました。私たちは利益だけを追求する会社ではなく、困っていることを解決しながら発展していくような企業を目指しました。

「あったらいいな」とイノベーション

  集まったスタッフ30人と3人の事務局で会社がスタートして、どんなふうに働きたいのかよく話し合いました。スタッフの年代は様々で、働き方の要望はそれぞれが違っていることがわかりました。また、短時間でも働きたいと思って働き始めた人でも、その時々の家庭の都合などで変わっていくことがよくあるのです。週に1回だったけど3回働きたい、定期的にもっと働いて収入を増やしたい、子どもの夏冬休みは配慮
してほしい等と、スタッフの要望が変わるたびに、私たちはスタッフの「あったらいいな」に応える努力をして、働く女性を応援してきました。当時はダイバーシティや多様な働き方といった言葉はありませんでしたが、スタッフの「あったらいいな」に応えられるしくみを作っていくことが、これから必要とされるサービスに繋がるに違いないというゆるぎない気持ちがありました。
 最初は設備投資がいらない、各家庭に出向くベビーシッターを自宅で始めましたが、今は時代や地域のニーズに応えてさまざまな保育・子育て支援サービスを提供しています。もっと稼ぎたいという人には、定期的な保育の場を用意するために人材派遣事業の許可を取り支援しました。
 また、日々の経験から育児不安で悩んでいる母親と子どもがつながりを持つ場が「あったらいいな」と感じ、公民館などで自前の「赤ちゃん連れママの交流ひろば」を開催していました。当時は専業主婦の贅沢な悩みくらいに思われていましたが、2000年頃からは社会問題として行政から母親への支援が始まりました。早い時期からひろばを運営していたコマームは市町村の「おやこの遊びひろば」、国の「子育て支援拠点」での運営業務を受託しています。
 歯が痛くても小さな子どもがいてがまんをしているという母親の声を聞いて、歯科医院から治療している間のひととき保育の依頼を受けたことから始まった、保育ルームの事業もあります。産婦人科医院からの依頼で行っていた保育ルームは、そこで働く看護師たちの「あったらいいな」に応えて「企業内保育」へと繋がりました。

スタッフも育ち、施設を自由に使った独自の保育ができる場が「あったらいいな」という声に応えるために、2006年ころから学童保育、児童館、子育て支援拠点などの指定管理者として業務受託を始めました。保育の仕事は得意でしたが、小学生以上の子どもとのかかわりや施設管理は初めての挑戦的な取り組みで、組織経営を目指すきっかけとなりました。自前の施設を持たない当社が常設的に働く場を持ったことで、スタッフのスキルアップとモチベーションを高めることができました。しかし、大変大きな事業なので異業種からの参入も多く、勝ち残るためにどう戦うかは組織としてのしくみや経営革新、独自で他に類を見ないような考え方・やり方を求められ、悩みも多い事業です。
 営業部門を持たない当社は戦略的に事業を増やしてきたのではなく、こんなふうに現場での困っている声や紹介で、その問題を解決するために先取りした事業展開が拡大に繋がってきたのです。

ファムとの出会いと同友会での学び

 女性経営者クラブ・ファムは埼玉県の支援事業を2005年から6年継続して受託しており、魁的な取り組みで高い評価を受けました。取り組みのひとつで企業内保育モデル事業の策定をしたときに関わり、このことがきっかけで埼玉同友会に入会しました。指定管理者として新分野に進出した時の雇用問題で組織経営の必要性を感じ、学ぶ場を求めていた時期でした。同友会に入会し3年がかりで経営理念とビジョンを成文化する中で、強みとして多様に働くしくみはブランドとして戦略になるという発想が生まれました。また、同友会の障害者雇用推進委員会で学ぶことがなかったら、障害者雇用は実現できていなかったと思います。女性が働きやすい職場は誰にでも働きやすい職場で、人を生かして人に生かされる経営の実践だと思っています。同友会での学びで、勘と度胸とハッタリの経営から組織経営へと変わることができました。  

       ▲埼玉から駆けつけたファムのメンバーたち

多様な働き方ブランド力が新たな仕事を生む

正社員、パート社員、派遣社員、登録スタッフとして働く440名の働き方の違いの多様性を受け入れ、働く人に合わせていたら「多様な働き方」ができました。結果、働きやすいことが強みになって働き方にフォーカスした「プラチナくるみん」「さいたま輝き荻野吟子賞」などたくさんの賞を受賞しました。受賞が新聞やマスコミに取り上げられ、官公庁や行政からの仕事依頼が多く、それが弊社の特徴となっています。多様な働き方のニーズは高く、これからも増やしていきたいと思っていますが、一人の人が派遣社員から登録スタッフ、正社員などといろいろな働き方に変わることで労務人事管理は大変である事も事実です。またスタッフ同士が違いを活かし合い補えるような組織になるまではぶつかり合いが起こります。しかしみんなが働き続けられるために作った会社ですから、悪戦苦闘しながらもしくみづくりを諦めるわけにはいかないのです。多様性のデコボコマネージメントは手間と時間がかかりますが、子供の生活を真ん中に地域に根っこを張る中小企業として、埼玉県のウーマノミクス政策に先駆的に取り組んできた自社の強みを引出し合い、弱みは中和する組織づくりで市場を先取りすることが次の変化に耐えうる組織になると思っています。
 東京オリンピックが開催される2020年に向けて、残業は0・有給取得率100%、その上で仕事効率を上げ、業績も上がるしくみができる会社を目指しています。日本で初の保育者相棒ロボットも開発中です。市場変化への対応は情報格差があると感じる外部環境よりも、予期せぬ成功と失敗を利用するとか、ギャップを探すとか、ニーズを見つけるなどの自分の足元である現場の中から生まれたイノベーションにあったと考えます。

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