同友会ニュース−活動報告

2017年度 第44回定時総会 経営環境の変化に立ち向かい中小企業の時代を切り拓こう 〜「人を生かす経営」の総合実践。地域と共に歩む企業づくりを〜

【第1部】 総 会

 \;  埼玉中小企業家同友会の第44回定時総会を4月15日(土)に開催し、約260名が出席しました。冒頭、久賀きよ江代表理事は「会員数は1,000名を超え、これから深谷と加須、ふじみ野といった地域への新地区設立が迫っています。また、広報委員会が作成したポスターなどのツールを活用し、他団体や関係機関への掲示を呼びかけ、会員拡大を進めていきます。2018年には女性経営者全国交流会を開催します。その勢いに乗り、2018年1,200名の目標を達成していきましょう」と挨拶しました。
 来賓として、上田清司県知事をはじめ、行政、金融機関からの出席があり、上田知事から中小企業への激励の挨拶をいただきました。
 総会では、議案書にもとづき昨年度の活動報告、今年度の活動方針、予算等が審議され、すべて承認されました。また、2016年度に各方面でご活躍された会員の方々の功労を称え、表彰が行われました。

【第2部】 記念講演

「しなやかで多様性を生かした強靭経営『人を生かす経営 共育と企業風土変革への挑戦』」
講師:(株)クリタエイムデリカ 代表取締役 栗田美和子氏 (東京同友会)

 ◆設立:1967年7月
 ◆資本金:9,000万円
 ◆事業内容:食品関連、調理麺製造

 総会第2部では記念講演として、(株)クリタエイムデリカ 代表取締役栗田美和子氏が講演しました。下記に概要を紹介します。


 \; ◆信頼よりも命令関係

 当社は創業69年目を迎える惣菜業です。越谷市にある1,200坪の土地の工場で調理麺をメインに製造しています。工場内はほぼステンレス製で大きな台所です。従業員数は約400名(社員72名)います。手作りが基本なので、1ライン25名ほどがライン上に並び、1日に65,000食を24時間365日稼動で提供しています。創業の名残から製麺が中心ですが、調理麺にしぼるとお客様の要望に応えられない部分が出てくるため、私は「惣菜業」と考えています。
 父が創業し、私の夫が2代目、2012年から3代目社長になりました。振り返ると、40年前の入社当時は地域のお客様を訪問するルートセールス(引き売り)を主軸に、毎日会社の維持継続に走り回る日々でした。約35年前に価格破壊があり、強引な安売りを要求されました。価格では存続できないため、生麺から調理麺に業種を変更しました。この時、コンビニエンスストアの開業が広がり、注文も増えたため24時間365日稼動を導入し、売り上げが一気に拡大します。しかし、事業の戦略がないため季節の売り上げの変動に悩みました。年間で設備投資をするのは7〜8月の稼働の為で、その理由もコンビニ受注に対応できないからという始末でした。
 今では信じられませんが、問題を抱えながらも会社は動いていました。当時は主人が経営者でしたが、主人がつくった経営理念が「日本一おいしいめん工場をめざそう」でした。常務だった私はそんな忙しい1998年に、友人の紹介をきっかけに東京同友会に入会しました。

 \; ◆『セレンディピティ』幸運を偶然につかむ力

 話は変わりますが、皆さん「セレンディピティ」という言葉を知っていますか。セレンディピティとは平たく言うと、ふとした偶然の出会いをきっかけに、幸運をつかみ取ることです。昔、先輩経営者から「経営するなら足で歩け。物を売るなら待っていてはだめだ」と教えられました。これは偶然の出会いを生かす出会いにする為に必要だと思います。
 私は2006年に第12回女性経営者全国交流会の実行委員長に就任し、内閣府男女共同参画局長の坂東真理子氏へ内閣府の後援を依頼しました。坂東氏は1995 〜1998年に埼玉県副知事を務められた方です。これをきっかけにその後の男女共同参画局長である岡島敦子氏(元埼玉県副知事)、現在は消費者庁に移られた板東久美子氏とも交友が広がっています。
 また、『日本で一番大切にしたい会社』の著者でもある坂本光司・法政大学教授や立教大学の教授である山口義行先生との出会いも大きく、企業経営に重大な示唆をいただいています。
 同友会は多くのよい経営者と出会える場です。偶然の出会いから思わぬ効果が得られることを実感しています。社員には「出会いを生かしなさい」よりも「セレンディピティを大切に」と話しています。

 \; ◆自らの思いを経営理念へ

 24時間工場が稼動しているので、同友会の例会には集中できませんでした。周りの仲間が心配してくれて、2004年に東京同友会の第27回経営指針成文化セミナーに参加しました。その後、管理職の社員と一緒に作成したのが以下の経営理念です。「麺とデリカの新しい食文化を創造する 1.私たちは安全で安心な商品づくりを通してお客様の幸せを目指します。1.私たちは環境にやさしい商品づくりを通して全ての人々の幸せを目指します。1.私たちは誇りの持てる会社づくりを通して全ての社員の幸せを目指します。」。特に大切にしているのは、社員の意見を反映した「環境にやさしい商品づくり」と「誇りの持てる会社づくり」の部分です。
 

 \; その後、社長に就任してまず経営理念の「全ての社員」を「全ての従業員」に変更し、私が出会いの中でよいと思ったことはすぐ実行していきました。会社の組織を図解して責任者を明記し、財務・顧客満足・業務プロセス・人材と変革の4つの視点に基づく1枚のバランススコアカード(戦略マップ)を作成し、社員との共有を図りました。
 バランススコアカードを配布すると、社員からは「会社に夢がない」と指摘され、ビジョンの必要性に気づかされました。頭をひねって作成したのがビジョン「食からの新しいコミュニティを創る」とミッション「身近で豊かな笑顔あふれる食卓提供」です。
 私どもの製品は一人での「孤食・個食」場で食べられます。家族そろって食事を取る習慣が失われつつあるなか、私どもの製品が会話の糸口となりさらに仲間を作り出すことにつながるようビジョンを掲げています。

 \; ◆従業員満足度調査の実施

 皆さんは「顧客満足度」と「従業員満足度」のどちらを気にしていますか。前社長は顧客を大事にすることが会社の成長につながると考えていました。しかし、私は従業員の満足度こそ企業にとって重要だと思います。
 ある時、同友会の仲間からES(従業員満足度)調査を薦められました。ちょうど坂本光司先生から「無料でES調査を実施しませんか」といわれていましたので、すぐお願いしました。坂本先生のES調査は当初100項目(現在81項目)です。特に弊社課題として出てくる「会社は従業員の家族を大切にしている(36%)」、「経営者・役員間の方針・方向性が一致している(28%)」、「上下関係・他部署を問わず何でも言える企業風土がある(46%)」などなど経営者としては歯がゆい項目結果も多々あります。

従業員からの貴重な意見として経営指針とバランススコアカードに結果を反映させて少しずつ改善をしています。
当社は51期を迎えました。50期の節目に私の意向で経営理念の「1.私たちは誇りの持てる会社づくりを通して全ての従業員の幸せを目指します。」を理念の最初に持ってきました。誇りの持てる会社のためには社員みんなの幸せが一番重要と示しました。

 \; ◆誇りの持てる企業をめざして

 2015年から健康をテーマにした畑のあるカフェ「シェアダイニングサルーテ」を始めました。高齢者の方や自社を定年退職した後にずっと働ける場所としてオープンしました。クリタ農園という農業事業をまず考えましたが、農業従事者平均年齢68歳でも継続できるのが一人しかいませんでした。山口義行先生から「今の事業はなくなる気持ちで隣接異業種に目を向ける」と教えていただいていたので、隣接異業種としてカフェを開こうとはじめました。まだまだマーケティングが甘く赤字がでている状況ですが、この経験は越谷市という地域を考えるきっかけになりました。当社は越谷市では取引を1件もないため、地元が見えなくなっていたのです。サルーテが地元を見直す良い機会になっています。

 \;  企業内の幹部社員研修で「誇りの持てる会社とは友人と親類にどこで勤務しているか言える会社」という意見が出てきました。当社もまだまだと反省すると同時に、社員が「誇りの持てる会社」についてしっかりと考えてくれているとうれしく思いました。今では「あなたの友人・息子・娘が?クリタエイムデリカに入りたいと言ってもらえる会社にしていこう」と呼びかけています。
 私はとにかく何でも取り組みました。社員からは「社長はまた何かしたいのですか」と言われることもあります。しかし、最近では2015年に埼玉県荻野吟子賞、2016年に埼玉チャレンジ賞、2017年に第25回優良外食産業農林大臣賞などの賞をいただき、社員の協力がさまざまに実を結んでいると思います。誇りの持てる会社までには難しい道のりがたくさんありますが、少しでも近づけるよう励んでいきたいと思います。

【第3部】 懇親会

 第3部の懇親会は、むさし野地区会設営のもと、活気あふれる雰囲気でした。2018年の女性経営者全国交流会のPRや11月17日(金)に川口で予定されている全県経営研究集会のPR、また、茨城同友会から高谷豊・茨城同友会代表理事はじめ3名が参加し9月14日(木)〜15日(金)に開催される第45回青年経営者全国交流会のPRが行われました。2017年度の幕開けにふさわしい勢いのよい懇親会となりました。  \;

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