経営指針のすすめ

良い会社づくりに不可欠な経営指針

同友会は「よい会社」を目指す会です。「よい会社」とは、企業の理念が明確であり、顧客や取引先からの信頼も厚く、社員が生きがいをもって働き、永続して利益を出し続ける企業と言えるでしょう。
同友会では、よい会社づくりに経営指針が不可欠であることを1977年から提起し、その確立と実践の活動を何より重視して取り組んできました。逆に言えば、経営指針の確立と実践なくして、「よい会社」をつくることは出来ないことを、実践によって検証してきたと言えます。

経営指針は、経営者の「運転免許」

車を運転するにも運転免許が必要です。経営者にも経営する免許がいる、それが「経営指針」です。景気がいい時は、誰が経営しても(無免許でも)利益が出ました。今はそのような時代ではありません。経営理念を実現する科学的根拠を持った明確な経営戦略の下、全社一丸体制での果敢な挑戦が求められます。経営指針を作っていないのなら、運転者(経営者)は基より、同乗者(社員・取引先等)も危険な状況に置いた、臨機応変という名の“成り行き任せ”の経営と言わざるを得ません。

社員を最も信頼できるパートナーと位置づける「労使見解」

同友会の特徴は、泥臭い生身の経営体験から学び合えることですが、思いを等しくする会員であっても、それぞれに事業形態や経営環境が異なる以上、気づきやヒントの枠を超え、真の交流が成り立つためには共通の視点が必要で、それが経営指針です。同友会活動に参加することで継続的に経営に役立てるためには、経営指針を作成することがスタートになります。また、当然ながら、経営指針は「つくる」ことが目的ではなく、社員と共にどう実践し、社内改革を進めるかが本来の趣旨です。そのためには、社員を最も信頼できるパートナーと位置づける中同協の「労使見解」(中小企業における労使関係の見解)の精神をよく学ぶことが大切です。とりわけ経営理念の共有がカギとなります。
また、「よい会社」であり続けるためには、製品・サービス・技術等が優れているだけでなく、それを生み出しつづける経営の仕組みとその実践=「経営品質の向上」が求められます。
同友会のいう経営指針とは、経営理念、経営方針(ビジョン)、経営計画の三つの構成部分で成り立っています。
「理念」「方針」「計画」を三位一体と捉えていることが同友会の経営指針の特徴です。

  • 経営理念

    事業経営を行うにあたっての経営の基本的なあり方を表明したものです。企業の目的は何か、何のために経営を行うのか、どのような会社を目指すか等を述べたものです。

  • 経営方針

    経営理念の徹底と具体化、創造的実現を目指して、中期(3~5年)のあるべき姿と目標を示し、それに到達するための道すじを示すものです。

  • 10年ビジョン

    経営理念を追求していく過程における、自社の理想的な未来像(ありたい姿)を具体的に描いたものです。

  • 経営計画

    経営理念を基本に、経営方針、戦略をさらに具体化した、利益計画を中心とした具体的な実行計画(アクションプラン)です。